ささやかなお別れ会
ささやかなお別れ会
お別れ会というと、社葬の別称のようなイメージがあるが、そこまで大きくはなくてもお別れ会を希望する遺族はいる。社葬ほどの派手さはないし、費用もそこまでは掛けない。ただ、遺族の事情を深堀すると、近親者のみで家族葬を執り行ったものの、様々な事情で改めてお別れ会を開いたといったケースが多いようだ。
〇ハワイが大好きだった故人のために開いたお別れ会
お世話になった方々にお別れを告げるために開かれたお別れ会。職場の近くのホテルを借りて、行った。背景には個人の大好きだったハワイの写真を飾り、祭壇は供花を組み込んでいる。食事はバイキング形式。故人が大好きだったコロッケを100個、遺族に用意してもらったという。葬儀社に任せ切るのではなく、少し手をかけてもらう事で、遺族の中にも「故人を送り出したい」という想い出ができる。
〇ピアノの先生のお葬式
お別れ会というより無宗教としての無宗教葬としてのお葬式。音楽に人生をささげた故人のために飾った祭壇は五線譜をモチーフにアレンジしている。
〇最近のお別れ会について
「遺族や近親者の気持ちがクローズアップされる中で、お葬式の持つ、『社会的な意味でのお別れ』があまり顧みられなくなった」と語る。一歩間違うと、特に故人がある程度社会的な地位の高かった場合などは、遺族に対して周囲からの期待をいうかプレッシャーもかかる。そうした遺族に対する救済処置としてのお別れ会、という意味付けもあるようだ。
=ビジネス雑誌月刊仏事(2016 vol.188)より抜粋=