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お布施の歴史と相場について・葬儀のしきたり【福岡葬儀・大分葬儀】
お葬式の知識

お布施の歴史と相場について・葬儀のしきたり【福岡葬儀・大分葬儀】

お布施の歴史



「布施」という言葉の語源は、サンスクリット語の「ダーナ(檀那)」で、「清浄な心で、人に法を説いたり、物品を与えるなど、施しをする」という意味。仏教では、在家信者が食事や衣や雨期の住まいなどをお布施して出家修行者の生活を補助し、出家者は自らの悟りをめざして修行する一方、とくに悟りを開いた出家者は、在家者に自在に説法して歩むべき生き方を教え導くものとされている。パーリー語というインドの古い言葉で書かれた経や戒律の本には、このお布施のこともしっかり記録されている。本書は、現在でもスリランカや東南アジアの仏教諸国で僧侶が保持し、用いられている。
 お布施が明確にならない理由は二つある。まず、お布施はお釈迦様の時代にはすでにインドのあたりまえの習慣になっており、在家信者に説法するにも、出家した弟子を指導するにも、わざわざお布施のことを話す必要がなかったことである。
 そして二つ目は、お釈迦様と仏教の品格によるもの。お釈迦様は弟子たちに、どのような善行為であっても、自分が利益を受けることがあってはならないと戒め、欲望や自我を捨てることが実践されていたのだ。
 例えば、食事をどの出家者にお布施すべきかと迷っている人にお布施の功徳の法則を教え、相手が「このように教えてくださったあなたこそ、お布施を受けるにふさわしい方です。どうぞこの食事をお受けください」とお布施しようとしても、それは断らなければならない。その人は、ほかの出家者などを探してお布施をすることになる。 そして「布施」には、財施、法施、無畏施の3種類ある。お葬式などの仏事の時に僧侶に渡すお布施は、「金銭や物品を施す物質的な布施」である財施となる。財施の本質的な意味はお布施をすることで自分の罪を消す、つまり贖罪にあたる。一方で僧侶は、読経や供養によって仏さまの教えを伝え、先祖の安寧や生きている者の無事を祈る。これが法を施す法施にあたる。無畏施は暑いときにうちわなどで扇いで風を送る風施、 困っている人にやさしい言葉をかける言施、 優しい笑顔を与える顔施、などをいう。これは僧侶に対してだけではなく、他人に対して自分でできる限り誠心誠意で施すことがお布施となる。

僧侶に渡す「お布施」


 葬儀でお布施を渡す場合、正式には枕経、通夜、葬儀と分けて渡すが、最近では、「枕経~通夜~葬儀」をまとめて渡すケースが多い(葬儀同日に初七日の法要を行う場合は、枕経から初七日までをまとめて渡す)。
 初七日や四十九日、初盆の法要、一周忌や三回忌などの年忌法要では、僧侶を招き読経の後一同で焼香、会食をし、その都度僧侶にお布施を渡す。お布施のほか、僧侶が出向く場合には「御車代」を渡し、もし法要後の会食に僧侶が欠席する場合には「御膳料」を渡すのがより丁寧になる。
 また、回忌法要だけでなく、納骨の際に執り行う「納骨式」、墓石や仏壇を新しく購入した際の「開眼供養」にもお布施を渡すケースがある。

「お布施」の書き方


 お布施を入れる封筒は、正式には熨斗袋を使用せず、郵便番号欄や水引の無い白い無地のものを準備する。二重封筒は「不幸事が重なる」といわれるので避けた方が好ましい。最近では市販の熨斗袋を使用することもあり、受け取る側の僧呂もあまり拘らない。
 封筒の表書きには「御布施」「御礼」「読経料」「御回向料」と書き、下段には喪主のフルネームを書く。
 仏式・神式・キリスト教など宗教によって封筒の表書きは異なる。神式の場合、不祝儀袋は白無地のものか白い封筒を使用する。表書きには「御祭祀料」「御礼」「御神饌料」「御榊料」と書くのが望ましい。下段には同じく喪主のフルネームを書き、初めてお会いする神官の場合には裏に住所・電話番号を記入する。
 キリスト教式の場合、不祝儀袋は同じく白無地のものか白い封筒を使用し、表書きは「献金」「御礼」と書く。下段には喪主のフルネームを書き、裏側には住所・電話番号を記入する。

「お布施」の渡し方


 僧侶へのお布施は、読経終了後に挨拶やお礼を一言添えて渡すが、法要後の会食に僧呂が同席する場合は会食の後に渡す。
 お布施を渡す際は、直接手渡しするのではなく、切手盆と呼ばれる小さな盆にのせるか、ふくさの上に置く。渡す際は、宗教者から見て正面になるように上下逆向きで渡す。自宅の場合は盆も用意できるが、他の場所で通夜・葬儀をする場合は、ふくさを用意する。

「お布施」の金額


 お布施は本来決まった額があるものではないため、あくまでも目安となる。
 葬儀のお布施は、約15万円から50万円と金額の幅が大きく、平均的に見てみると20万円から30万円ぐらいが相場と言われる。特定の菩提寺がなく、葬儀社などに紹介してもらったお寺の場合は、前もって「御布施(宗教者への謝礼)は○○ぐらいが多いです」とお布施の目安を伝えられることもある。
 法要のお布施は、四十九日法要・
一周忌法要の際は3万円から5万円、三回忌以降は1万円から5万円が相場と言われる。
戒名に対する「お布施」 また、読経のほかに授かった戒名に対するお布施がある。戒名を付けてもらった時に渡す戒名料は、読経などの謝礼として渡すお布施とは別のものであるが、僧侶に渡す際に戒名料も含めてお布施として渡すこともあるのだ。
 これも地域やお寺との関係によって異なり、またお布施本来の意味からも決まった価格(相場)があるわけではないため目安となるが、5万円から50万円と言われる。
 現代では仏事に際して僧侶に支払う(読経と戒名に対する)謝礼、という捉え方が一般的だが、お布施が本来意味することはしっかりと理解しておきたい。

以下書籍より抜粋
出版:「笑顔で見送られたい人生100年時代をどう生きるか」
編集:一般社団法人 日本地域情報振興協会NiCoA出版部


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