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歌声喫茶
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歌声喫茶

「歌声喫茶」多様化で脚光 “70代の青春”輝き放つ
往年の若者文化からシニアの交流拠点に-。「歌声喫茶」が、喫茶店の枠を超え、高齢者の生きがいづくりの場として多様な形を見せている。千葉県では隔月で運行する「歌声列車」が走り、大阪では平均年齢75歳の人たちが大合唱を繰り広げる。“70代の青春”が、歌声にのって輝きを放つ。(服部素子)
○ローカル線で
 「生演奏で、声をそろえてみんなで歌う」というスタイルの歌声喫茶が、若者の人気を博したのは昭和30~50年代。当時の若者がシニア世代となり、新たな歌声を響かせている。
 千葉県市原市の「いちはら歌声を楽しむ会」は、地元のローカル鉄道、小湊鐵道とコラボし、8年前から「歌声列車IN小湊鐵道」を走らせる。
 偶数月の第3日曜日、定期列車に歌声貸切車両1両を連結。定員50人で、往復約3時間の歌声の旅だ。すでに50回以上が開催され、歌声で沿線の町起こしに一役買っている。
 「お客さんの9割はシニア女性。歌と思い出がみんな同じようにかぶる世代だからできる企画。あと15年はみんなの生きがいにしたい」。同会代表の清水厚史さん(72)は笑顔で話す。
○女性も多数参加
 「次は、『瀬戸の花嫁』を歌いま~す」
 生バンドの演奏をバックに、大阪市阿倍野区の桃ケ池公園市民活動センターに180人のシニアの大合唱が響き渡った。先月23日、復活51回を迎えた「田辺うたごえ喫茶」。同センターの体育室には、白布をかけた長机とパイプ椅子が並ぶ。参加者の8割は女性。約2時間、昭和歌謡を中心に三十数曲をはつらつと歌い上げた。
 同区では昭和49年から約5年間、若者のサークル活動として歌声喫茶が開かれた。復活第1回は、平成25年4月。三十数年ぶりの復活に挑んだのは、当時の運営スタッフだった“元青年”たちだ。
 「定年という仕事からの卒業の時を迎え、人生を謳歌(おうか)するのは若者だけの特権ではないと気づいた」と話すのは、田辺うたごえ喫茶代表でギター担当の飯田弘之さん(64)。20年間離れていたギターの腕も、猛練習でかつてのレベルに戻した。
 ○曲で時代を共有
 こだわったのは、曲目と歌いやすい演奏だ。手作りの歌集には昭和歌謡、童謡・唱歌、フォークソング、民謡など833曲を収録。全て参加者のリクエストだ。
伴奏も、最初は飯田さんと市民合唱団の現役指揮者でもあるアコーディオンの森川和男さん(75)、プロのフリーピアニストの喜多陵介さん(53)の3人だった。その後、ドラムの藤堂真二郎さん(72)、ベースの横谷重雄さん(54)を1年かけて引き入れ、シニアの音域に合わせる「移調」も自在にこなせるバンドになった。
 「納得できる音楽を作れることが、生きがいの一つ」と飯田さん。参加者の栗原範夫さん(87)は「カラオケは1人で好きな曲を歌うだけだが、ここでは自分が生きてきた時代を、歌でみんなと共有できる」と魅力を話す。
 ただ、復活を遂げたかに見える文化にも、先行きを懸念する声がある。いちはら歌声を楽しむ会の清水さんは、「次のシニア世代に受け継がれることはないのでは」。
 シニアの生きがいづくりに詳しい桃山学院大社会学部の石田易司教授(69)も「現在は個が尊重され過ぎて、集団が煩わしい社会になっている」と時代の変化を指摘する。“シニアの生きがい”は一律ではなく、今後ますます多様化していくと示唆した。
産経新聞 ニュース2017.08.23掲載分
西日本典礼でも歌声喫茶を開いております。
各斎場にて定期的に開催しております。興味がある方、参加希望の方は下記までお問い合わせください。

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